アッペンツェルの大晦日 名物・ジルベスタークラウゼ

公開日 : 2016年01月31日
最終更新 :

アッペンツェルアウサーローデンの一大イベントのひとつ、大晦日に行われる「ジルベスタークラウゼ Silvesterkläuse、またはSilvesterchlausen」。

クラウゼとは、サンタクロースと同じ「聖ニコラウス」の複数形なのですが、この場合は「精霊」というような意味で使われています。

グレゴリオ暦の大晦日(12月31日)と、ユリウス暦の大晦日(現在の暦では1月13日)に開催されるこのお祭り。

その年にあった悪いものを祓い、賑やかに年越しをして、新年を賑やかに迎えるという、200年以上つづく大切な伝統行事です。

独特で精巧な被り物を頭に乗せ、これまた独特で精巧なマスクと衣装をまとったクラウゼが5〜6人で一組となり、村の家々を訪れます。

クラウゼには3種類あります。

1つめは、美しい「Schöne」。綺麗に化粧を施し、鮮やかな色の衣装を着ています。

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なんか、すっとぼけていて愛らしいですね。

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2つめは、醜い「Wüeschte」。自然の素材、たとえば松の枝や苔といったものを全身にまとったクラウゼです。醜いという名前ではありますが、自然の大切さを表しています。

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3つめは、ちょっと醜い「Schö Wüeschte」。醜いクラウゼがまとっている素材を少し取り入れているものの、マスクは人間に近いという、中間タイプのクラウゼです。

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私にとっては、どれも美しく、特に松の枝をまとったクラウゼに目を奪われました。

そんな彼らが、一軒一軒、村人を訪問し、玄関先でヨーデルを歌い、鐘(鈴)を鳴らして踊って、また次の家へと向かいます。

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重そうな衣装と鐘(鈴)にもかかわらず、軽やかな動き。

そして、男性とは思えないほど高く澄んだ声で歌われる静かなヨーデル。

自然と涙がこぼれてしまうほどでした。

ご褒美としてお金をもらうこともある、と聞いていたのですが、私が目撃したのはただ1つ、「飲み物」。

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この日は朝から雪が降って、深いところでは15cmは積もっていたので、たしかに温かい飲み物で体を温めないと風邪をひいてしまうのでしょう・・・と思っていたら・・・

よく見ると、ワインでした!

ストローで飲んでいるので、熱いワインではなさそうですが、マスクをしているにもかかわらずご機嫌な様子が伝わってきました。

さて、この被り物や衣装を作るのに100時間以上、ものによっては3年もかかるそうです。

たしかに、見れば見るほど精巧に作られた部分がわかるので、雪や雨にさらされるのはもったいないと思ってしまうほど。

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この被り物は、約8kgで、高さは大きいもので50chほどだそうです。

身にまとっている衣装や枝などは、全身で20kgから30kgにも及ぶとのこと。

女性のような衣装を着ていても、全員が男性だというのも納得ですね。

このクラウゼを務めるためには体力テストがあるそうで、それに合格しないといけないとか。

「いつか僕だって」と、男の子たちは思っているのでしょうか。

と思っていたら、子供たちで結成されたちびっこクラウゼと遭遇。

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あまりの可愛らしさに、なにかプレゼントしたくなりました。

今年は12月31日に行きたいものです。

また、追ってレポートします。

Silvesterkläuse/Silvesterchlausen

<開催日>

12月31日

1月13日(日曜の場合は12日)

<開催場所>

Urnäsch

Stein

Herisau

Teufen

など

いずれも、チューリッヒからなら国鉄(SBB)でザンクトガレン(St.Gallen)かゴッサウ(Gossau)まで行き、そこからアッペンツェル鉄道(Appenzeller Bahnen)で各駅へ。

<開催時間>

開催日と場所によって異なります。

ちなみに、1月13日にUrnäschで開催されたものは、8:00くらいにスタートしました。

11:30には一段落し、クラウゼたちはお昼ご飯に出かけたのか、しばらくお休みでした。

その後、14:00くらいから17:00くらいまで午後の部があるそうです。

筆者

スイス特派員

ヘス 順子

スイス東部のアッペンツェルに住んでいます。日本とスイスの橋渡しになるような仕事をし、それを深めていきたいです。

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