現場のリーダーを育成!トヨタ工業技術学校

公開日 : 2017年02月21日
最終更新 :
筆者 : 竹内里枝

バンガロールの南西郊外に広がるビダディーに、インドの未来を担うリーダーを育成する職業訓練校、トヨタ工業技術学校(Toyota Technical Training Institute)があります。

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限られた条件の人しか入学できないというこの学校について特別に取材させていただきました。

トヨタ工業技術学校は、2007年8月インドの現地法人であるトヨタキルロスカモーター(Toyota Kirloskar Motor Private Limited)によって開校されました。受験資格は、中学を優秀な成績で修めたにも関わらず、世帯収入が月収Rs10,000以下の高校への進学が難しいとされている者。そんな条件がそろった生徒たちが毎年およそ3500人この門をたたくと言います。しかし、入学できるのはたったの64人という狭き門なのです。

この学校は、全寮制で食事付き、しかも授業料は無料で奨学金までも支給されます。

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ここで生徒たちは3年間、一般教養、自動車の組み立て、溶接といった技術を学び、卒業後はほぼ全員職に就けるというまさに夢の学校なのです。

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まず、その狭き門を突破するのに数学、科学、英語、面接、健康診断、体力テストが行われます。

そんな難関を突破した生徒たちの1日は、午前6:00から始まります。ヨガ、規律訓練、朝礼、決められたテーマで発表する英語でのプレゼンテーション。

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日中は、一般教養と実技をみっちり学びます。そして2年生からは、同じ敷地内にあるトヨタの工場で職場トレーニングもカリキュラムに入ってきます。

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夕方は体力づくりの為の部活動、さらに生徒達の多くは農村出身なので、村に帰れば当然農作業も必要となってくる農業体験までも行われます。夕食は、午後7:30。その後は各自寮にて勉強。彼らは2人で1つの部屋を与えられていますが、彼らにとってここは5つ星ホテル並みのファシリティー。

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なぜなら、村に帰れば4畳半程のスペースに祖父母、両親、兄弟が暮らし、子供達は外や道路で寝ることになってしまうからなのです。

この日、今や立派な社会人となった1期生ラムさんと2期生のスブさんに話を伺えました

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ラムさんは、結婚をし2人の子供にも恵まれ幸せな家庭を築き、現在はこの学校で後輩たちのトレーニングをしています。スブさんもトヨタの工場で働き、ITI(Industrial Technical Institute)を卒業した同僚達に技術指導をしながら現場で活躍しています。

校長のカルパナさんは「もし、ラムさんがこの学校に入っていなかったら今頃は実家を継いで祭祀になっていたでしょう。スブさんは、バングルを籠に入れて売り歩いていたかもしれない。ここは、彼らの夢を叶える場所なんです。」と話していました。

この学校では、身だしなみや規律など日本人が生活の中で学んでいく常識や礼儀作法を「トヨタ流」にして3年間でいっきに身に着け、どんな社会にでも通用する人間を育てていくという印象を受ました。16歳から親元を離れ、慣れない環境でホームシックになりかかりながらも親を思う気持ちと自分の夢を抱き、それを原動力に真っ直ぐに突き進むそんなインド人の強さを目の当たりにしました。

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